さわやか四組
- Date
- 2006-04-11 (火)
- Category
- novel
小学校の頃の思いでは、結構いろいろあるのですが、一番印象に残った出来事は、防火訓練の際に、担任の小川先生が火だるまになったことです。 毎回、防火訓練ではガソリンを入れたバットに消化器をかけて消しますよね。あの時に起こった事件です。当日火災報知器が鳴りますと、全校生徒は左手で右手の腕を握って、フリーの右手は前の人を階段で押しながら、速やかに待避します。その後、小さく前ならえして整列すると、お待ちかねの消化実演の始まりです。ガソリンに着火した炎を毎回消化器で消すという危険な単純作業です。これについて思うのですが、
毎年毎年同じ内容で訓練しても緊張感にかけるので、たまには何に火をつけるかは当日まで内緒にしておいて、
当日びっくりするような防火訓練がしたいですね。え、あれ燃やすの!?っていう感じで。 さて、 一組の担任の先生から始まって、
私たちの四組の小川先生の出番です。 消防署の職員がガソリンに着火すると、いきおい良く炎が燃え上がります。
小川先生は俺がやってやるとクラスの女子に手をふりながら、消化器を振り回し、
年下相手に意味不明なセックスアピールをしています。
日弱な独身男の数少ない晴れ舞台でございます。
小川先生が炎のタイミングを見計らって、消化器のグリップを握ると、消化器から勢いよく炎が吹き出ました。
小川先生ははじめは何が起こったのかよく分からない顔をしていましたが、
巨大な炎が吹き出しているのが自分の手に持っている消化器であると気がつくと、戸惑いのあまり消化器を地面に落としてしまいました。
なぜ消化器から炎が吹き出したのか?その原因は実は僕と友達の悪戯にあります。
実は数ヶ月前に僕と友達が消化器を転がして遊んだりしていたところ、消化気のグリップが階段の下で押され中身が全部出てしましました。
これはいけないと思った僕は、年齢にしては賢い子供だったの素直に謝らずに、詰め替えて元の状態に戻しておくことにしました。
学校の用具置き場は鍵がかかっていなかったので自由に入れました。友達と僕は速やかに忍び込むと消化器の詰め替えセットを探しました。
僕がひからびた使用済みコンドームを踏んで粉にしていると、友達がめざとく消化器の詰め替えセットを見つけて来ました。
けれども粉の方は湿って固まっていたので使い物になりません。圧縮空気のほうはまだちゃんと使えそうです。
困ったなあー空気だけじゃ消化器の役目をはたさないよ。と二人で悩んでいると、足下に灯油缶があるのに気がつきました。
これがあるじゃないかと、粉の代わりにこれをつめれば簡単に火炎照射器が作れるじゃないか。
これを秘密基地の最終兵器にしようぜ。と意気投合!当初の予定を変更し、
消化粉の代わりに灯油を入れることしたのでした。で、教室に戻った後で、
やっぱり持って帰るのは重いから今度にしようと置いたまま忘れて帰りました。 さて、小川先生ですが、
火炎消化器を落としたついでに吹き出す炎を全身に浴びて、スーパーサイヤ人のような状態です。
さあ小川先生の命がけの献身により実現したリアル消化訓練の始まりです。
他の先生たちは素早く駆け寄り消化活動を開始しました。 小川先生今度は粉まみれです、
キョンシーが天ぷらにされるシーンを僕は思い出しました。 あと消化完了すると、
一組の担任は心配そうにかけよったのに二組担任の岡田はヒーローになったつもりなのか、
女教師の視線チェックに励んでいました。とっても醜いです。
小川先生はサイヤ人から普通の人間に戻りはしたのですが、残念ながら全身を大やけどしまして瀕死の重傷でした。
すぐにでも大量の皮膚移植をしないと死んでしまうそうです。四組のクラスのみんなでいろいろ考えた末、
女の子は肌に傷が付くといけないから男のだけで、少しずつ皮膚を提供することにしました。手術は見事に成功し、
先生はちょっとグロデスクになったけど一命を取り留めました。その時はみんなで手を取り合って喜んだのでした。
それから十年がすぎ高校生になったとき小川先生と四組のみんなで同窓会をしました。
小川先生はあれだけの怪我を負ったのに今ではとても元気そうです、
そればかりか当時禿けかけていた頭にふさりとまばらではありますが毛束が生えてきています。 いや、頭だけではありません。体の至る所から、
ちぢれた毛が生えてきているではありませんか。 先生はその毛を一本一本愛おしそうに撫でながらこういうのです。
「これはみんなが少しずつ分けてくれた命なんだよ、みんなは遠くに離れしまっても 僕は君たちの成長は手に取るようにわかるんだ。」 と、
とってもうれしそうです。 「僕たちも先生のおかげで少しだけ大人になれました、エコルセも要りませんよ」
と、 このようにクラスの絆を深めたのでした。